このブログでは何度か「行動に着目する」ことの有効性について話してきました。では私がなぜ「行動に着目する」ようになったのか? をお話したいと思います。
例えば、新規にアプリケーションを開発する場合大まかの要件は決まっていても、いざ開発するためには細かい要件(仕様)を詰めていかなければなります。このタイミングでお客様ご担当者と仕様に関する打合せを何度となく行うことになるのですが、具体的に詰めていくにつれお客様ご担当者から思い付きにも近い要件が「アレもコレも」と挙げられます。もちろん割ける工数を理由に断ることもできるのですが、ぜっかくお客様ご担当者の「前向きにユーザーの事を思った上での要件」を無下に却下するのも「なーんか違うような気がするなぁ」と思っていました。
そんなことを長年感じていた時に知ったのが、カークパトリックさんのレベル4フレームワークという考え方です。このフレームワークは教育プログラムの効果測定に使われるフレームワークで以下のような内容になります。
・レベル1:Reaction(反応)
受講者が教育プログラムに満足したか?(楽しかったか?)
・レベル2:Learning(学習)
受講者が教育プログラムでの学習内容を習得したか?
・レベル3:Behavior(行動)
受講者が教育プログラムの受講前後で行動変化が起こったか?
・レベル4:Results(業績)
受講者の行動変化が企業業績に貢献したか?
すなわち、ある教育プログラムに対し上記レベルの判定を行った上で、費用対効果を算出しようという教育プログラムの有効性を測るためのフレームワークです。ザックリ言えば「受講者に行動変化が起こり」その行動変化が「企業業績に貢献すれば」その教育プログラムは「価値のある物」ということになります。
このフレームワークを知った時、私は「これって教育プログラムだけじゃなくていろいろなシーンに使えんじゃね?」と思いました。
つまり前出の新規アプリの仕様検討においても、お客様ご担当者から出された要件に対し「その機能って”有る”と”無い”とでユーザーの行動に違いが出ますかねぇ?」とか「その行動の違いって業務の改善に貢献しますかねぇ?」という確認を行えば「その要件を実現することの本当の価値が見えてくる」といった具合です。
この考えに至った時私は「E=mc2」を発見したアインシュタインぐらいの感動を覚えました(イヤ、ホントに)。事実その後アプリ仕様検討だけでなく、いろいろな要件を仕分けるシーンでこの「行動に着目する」という考えに助けられました。
皆さんも是非「行動に着目する」視点を使ってみてください。この考え方が非常に有効であることを実感していただけると思います。
なお、要件に仕分けについては以下の記事も見てくださーい
要件の仕分け方
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