「最終的に決定されたのはお客様です」

前回の課題の話とちょっと似ていますが、プロジェクトを進めていく中で、開始当初には気付かなかった不確定要素(「どっちにしよう?」「 どうしよう?」 といった課題)が幾つも顕在化してくるのが普通ですよね? そんな時はお客様と相談して適切な方向性を明確化していくことになるのですが、その場合の「意思決定の責任を100%お客様に押し付ける姿勢はあまり得策ではない」というのが今回のお話。

原理原則論から言えば顕在化した不確定要素は、
・ベンダーは考えられる選択肢と各選択肢に関するメリット/デメリットを提示する
・お客様は、ベンダーからの情報+α(自ら集めた情報、自社内の情報)から、最適と思われる選択肢を決定する
という流れで確定させていくことになります。

ですので、ベンダーとしては「ここでのお客様の決定」に置ける責任は当然お客様が持つものと認識しますし、仮にこの決定に起因したトラブルが発生した場合は「最終的に決定されたのはお客様です」という建付けで、当該トラブルに関するベンダー責任を回避することは可能です。
しかし、このような対応が本当に正しいのでしょうか? いくら「自分のせいにならずお客様からお叱りを受けずに済んだ」としても、プロジェクトとしてはトラブルが発生している状態であることには変わりないのですから。

「自分のせいにならない」ことを優先する姿勢
システム屋(に限らずですが)の中には何よりも「自分のせいにならない」ことを優先する人がいます。そんな人のプロジェクトで「不確定要素が顕在化する」と対応は以下のようになります。
・ 選択肢と各選択肢に関するメリット/デメリットは(形だけ)提示するが、自分たち大きな負荷がかかるような選択肢は外すか、選ばせないようにする
・ 選択についてお客様に相談されても「こちらは判断する立場にないのでお客様で判断してください」と、とにかく自分の責任を回避する対応を(露骨に)取る
・お客様が決定できずにいると「XX日までのご決定ください。ご回答いただけない場合は全体スケジュールの見直しが必要になります」と一方的に通告する

このような対応を取り続ければ、何らかのトラブルが発生しても「自分のせいにならない」と思いますが、おそらくお客様との信頼関係は築けないですし、プロジェクトがトラブる可能性が高くなるということは容易にご想像いただけると思います。

「お客様の決定事項にも責任を持つ」姿勢
もちろんば責任の所在を明確化することは必要ですし、逆に責任の所在を全く明確化しない所謂「ナアナア」な状況になることもトラブルの原因になります。
しかし、プロジェクトのマネジメントにおいて優先すべきは「自分のせいにならない」ではなく「プロジェクトの成功」であることは間違いありません。
その為には、自分にとって多少のリスクにはなるかもせませんが、お客様の決定事項にも責任を持つ姿勢であることも必要です。仮に貴方が「お客様の決定事項にも責任を持つ姿勢」を持つ姿勢を取れば、お客様の意思決定におけるベンダーからの情報提供においても「お客様に正しい選択肢を選んでもらえるよう」最大の努力を払ようになりますし、そういった姿勢が「お客様との信頼関係を築くこと」にも繋がり、延いては「プロジェクトの成功」にも必ず繋がります。

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