前回のつづきです。このままデータ中心アプローチは日の目を見ないのでしょうか?(笑)
データ正規化の登場
このような問題を解消するためにデータ統一に利用できる一般的なアプローチが必要になってきました。そのアプローチが「データの正規化」です。データ正規化のルールに従ってデータ統一ルールを定めることで、誰もが納得できるデータ統一ルールを策定できるようになりました。いや「なりました」というのは言い過ぎで、それでもデータの統一にはさまざまな問題(現行が不明であったり、政治的問題など)が立ちはだかりました。
しかし「データの正規化」という道具がもたらされたことで、データの統合はそれ以前に比べてずいぶんスムースになったと感じています。
正規化されたはずデータに問題あり
データの統合ルールが決まったとしても、それが守られることが保証されているわけではありません。決めたルールに対する解釈の違いや、そもそものプログラムのバグで統合されたデータすべてがルール通りに作成されているかどうかはわかりません。データがルール通りになっていることを前提にデータを使用するプロラムは開発されるわけですから、ルールに沿わないデータが原因のトラブルがしばしば発生しました。

RDBMSの登場
そこでそのデータルールをシステム的に守らせるすることが考えられました。この「データルールをシステム的に守らせる」役割を担うのがDBMS(データベースマネジメントシステム)で、正規化されたデータを対象としたDBMSがRDBMS(リレーショナルデータベースマネジメントシステム)です。
このミドルウェアを用いデータルールをこれに設定すれば、データルールに沿っているデータ以外は登録できません。そのため、データの利用者は安心して蓄積されたデータを活用することができるようになりました。

RDBMSが切り開いた新しい世界
このような環境が整ったことでシステムを作成する際「処理(プロセス)」を中心に考えるのではなく「データ」を中心に考えるようになりました。データを中心に考えることでシステム全体として構築の生産性が徐々に上がってきました。
「プロセス中心アプローチ」から「データ中心アプローチ」に代わっていく様子を現場で見ていた私としては、この変容は「天動説」から「地動説」に代わるくらい大きな衝撃でもありました。また当時、頭を切り替えるのに苦労しているベテランのシステム屋もたくさんいました。
いかがでしょう? こんな歴史も理解していると「RDBMSが如何にありがたいもの」で「データの正規化が如何に重要な技術であるか」を少しは感じていただけたのではないでしょうか?
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