新規プロジェクトは必ず失敗する(2)の続きです。
このシリーズでは「プロジェクトの失敗を最小化するには、お客様との共通認識の構築がキーである」と述べてきました。前回は最も大切な共通認識として「プロジェクトゴール」を挙げさせていただきましたが、この記事では2つ目に重要な共通認識についてお話したいと思います。
共通認識:必要なタスク
プロジェクトをゴールへと導くために「必要なタスク」についても共通認識を得る必要があります。これについてはお客様も何となくイメージされているのですが、お客様のイメージや我々ベンダーの想定と、実際のタスクにギャップが生じた場合にトラブルとなります。
よくある話としてプロジェクト開始当初は顕在化していなかったタスクが見つかった場合「そのタスクって誰がやるの?」ということでもめたりしまよね。それよりひどいのが、なんとなーく「タスクを見つけた人が自動的に担当なる」というような空気が形成されている場合で、この場合は誰かが必要な追加タスクを見つけても「自分が担当になりたくないので見なかったことにする」というアクションになります。
こうなると確実にトラブルプロジェクトになるのはお判りいただけますよね?皆さんも、
・プロジェクト開始後に担当者未定のタスクがどんどん増えてプロジェクト自体が頓挫する
という経験がお有りではないでしょうか?
このような状況をできるだけ避けるにはどのようなアプローチを採ればいいのでしょうか?
「契約内容で縛る」というアプローチ
契約書等でプロジェクトの中で自社が担当するタスク(のみ)を明確にし「ここで挙げたタスク以外は当社の担当外です」といった文言を明記し、追加となったタスクの担当を拒否する方法です。これって割とよく採用されるアプローチなのですが、追加タスクが発生した場合自社への被害は避けられるとしてもプロジェクトとしては良い方向に向かわないので、あまり採用したくないアプローチです。
「工数にバッファを持たせる」というアプローチ
自社の作業工数に余裕を持たせて、追加タスクの対応がある程度で可能な計画とする、というのもあります。この方法もとよく採用されるアプローチなのですが、「どの程度のバッファを持たせるか」があいまいですし、状況によっては(お客様への不当に利益供与として)コンプライアンス違反になる可能性もあります。
「タスクを挙げ切る」というアプローチ
このトラブルの根本は「想定してないタスクが顕在化したこと」なので、想定していなかったタスクが発生しなければトラブルは発生しません。ですのでプロジェクト計画段階で如何に漏れなくタスクを挙げられるかがカギとなります。その為には・・・
自分1人で考えない
提案書の作成は(レビューはあるにせよ)1人の人に任されがちですが、プロジェクトでの必要タスクを挙げる作業は、是非複数の人の助言をもらうようにしてください。(ブレインストーミング形式のMtgがおススメです)。自分では思いつかないようなタスクが「こういうのも必要じゃない」と指摘され、目から鱗というのもよくあることです。
お客様にも手伝ってもらう
想定したタスクに関しては提案フェーズでお客様に意見をいただくこともトライしてください。中々そういう雰囲気じゃないケースもありますが、プロジェクトを成功させたい気持ちはお客様も一緒です。営業担当等に事前相談してみて、お客様のご支援を仰ぐのも効果的な方法です。
兎にも角にも、プロジェクト計画段階で必要なタスクを挙げ切ることはプロジェクト成功の大きなポイントとなるので、(同僚、お客様、検索エンジン、AIなど)あらゆるものを活用してタスクを挙げ切る努力をしてください。
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