リスクは避けるもの?

以前の「ITサービスビジネスはリスクビジネス」という記事で、ITサービスのリスクについてさんざん愚痴らせていただきました。ということはリスクは徹底的に避けるべきなのでしょうか?

いえ、そうでは無いと私は思います。リスクはきちんと評価・分析した上で適切にコントロールしつつ果敢に挑戦すべきものだと思います。なぜなら、リスクの無いもしくは少ない仕事には大きなリターンは見込めませんし、スキルの向上も望めません。加えて面白い・チャレンジャブルな仕事には絶対にならないと思います。

私はこの失敗の後、教訓としてかなり長い間、このデジタル腕時計を身につけていました。最近でも折に触れて電池を入れ替えては使っています。
ただ し、誤解されやすいのですが、私がこの腕時計をするのは、こんな失敗は二度としないようにという思いからではありません。逆にこんな失敗だってちゃんとで きたじゃないか、私たちは今、ちゃんとリスクを取って挑戦しているだろうかと、だんだんリスクを取らなくなる自分たちを諌める思いの方が強いのです。

これは、インテル創始者の一人、ゴードン・ムーアの有名な言葉です。
ゴードン・ムーアはロバート・ノイスの後を受けて最高経営責任者(CEO)に就任して間もなくデジタル時計を始めました。当時、今では半導体メモリーの中心的存在になっているDRAM(記憶保持動作が必要な随時書き込み読み出しメモリー)の開発に成功し、売上高が1億ドルを超える直前でした。事業が波に乗っていたせいか、半導体の新しい用途だからと気軽に考えてデジタル時計の生産に乗り出したのです。
ところが、日本の時計メーカーの低価格攻勢に遭い、作れば作るほど赤字になりました。何しろ、生産開始から3年後に事業の撤退を決定した時には、インテル売り出した当初の価格のおよそ10分の1でしかない製品まで登場したのです。結局、この時計事業だけで1,500万ドルの赤字を生み出しました。まだ創業から10年もたたない当時のインテルにとっては死ぬか生きるかというほどの大きな打撃でした。

私もそれなりの歳にはなりましたが、いつまでもリスクを恐れず果敢なチャレンジしつづけたいなぁ、と、とりあえず思っています。

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